衛宮さんちの今日の晩餐会 イベントレポート
優しくて温かくて、
そしてお腹が空いちゃうひととき

2019年6月30日(日)、
ヒューリックホール東京にて、
『衛宮さんちの今日のごはん』のイベント
「衛宮さんちの今日の晩餐会」が開催された。
約800人のファンが会場を訪れたこのイベントには、
メインキャスト8人と
OP主題歌アーティストのDJみそしるとMCごはん、
そしてED主題歌アーティストの
三月のパンタシア(Vo.みあ)が登壇。
作品を振り返るトークや食レポ対決、
そして朗読劇などなど、
なごやかで温かな笑いに満ちた
ひとときを届けてくれた。
ここではそんなイベントの模様を
お送りしていこう。

オープニング
まずは、レコード型のワッペン付きエプロンを身に着けたDJみそしるとMCごはんが登場。OP主題歌「エプロンボーイ」の生歌唱で会場の空気をふんわりと盛り上げてくれた。
続けて、今回のイベントのテーマ“晩餐会”に合わせ、正装姿に身を包んだキャスト8名が登場。衛宮士郎役の杉山紀彰さんは、セイバー・オルタカラーのネクタイを装着。そしてセイバー役の川澄綾子さんは、セイバーをイメージした白いブラウスと青いスカートを披露。「最近はセイバー・オルタをイメージした黒い服ばかりだったから、この格好は本当に久しぶり」と語っていた。各人が「晩餐会」にふさわしい装いの中、ランサー役の神奈延年さんはアイスコーヒー……にしか見えない「めんつゆ」が描かれたTシャツというラフな服装で登場し、会場の笑いを誘っていた。
この日のMCを務めたのは、遠坂凛役の植田佳奈さんと、間桐桜役の下屋則子さん。凛と桜が実の姉妹であるという設定がようやく公に解禁された2人による、初めての共同作業となった。
「キャストが選ぶ一番〇〇なシーン」
さまざまなお題を通して、作品の魅力を深掘りする「衛宮さんちの今日のトーク」。最初のテーマである「キャストが選ぶ一番〇〇なシーン」では、キャストの皆さんに事前アンケートを行い、アニメ本編全十三話の中から各々の「一番〇〇なシーン」を選んでもらった。
まず、イリヤ役の門脇舞以さんが選んだ「一番良いとしか言えないシーン」は、第七話「さらりと頂く冷やし茶漬け」にて、縁側で冷やし茶漬けを食べるシーン。子供の頃、夏休みは帰省して縁側で遊んでいたという門脇さん。だからこそ、縁側でのんびり過ごすシーンは、「良いとしか言えないじゃん!」としみじみ思ったとのこと。
また、神奈さんが選んだ「一番さわやかなシーン」は、第四話「春野菜とベーコンのサンドイッチ」で、アサシンがサンドイッチを食べるシーン。サンドイッチもおいしそうだが、季節の変化を感じさせる風景も極上の味わいがあると語っていた。
川澄さんとライダー役・浅川悠さんが選んだ「一番かわいいシーン」は、第五話「たけのこグラタン」で、たけのこグラタンを食べる慎二を桜がこっそりのぞくシーン。たけのこの形を指で示して「こういうやつですね!」というセイバーがかわいかったという川澄さんに対して、浅川さんは「慎二が食べているグラタンに毒でも盛れば……」と、不穏なコメントで会場を沸かせていた。
藤村大河役の伊藤美紀さんが選んだ「一番ほっこりしたシーン」は、第三話「春のちらし寿司」でみんながイリヤをもてなすシーン。幼い頃、イリヤと同じようにひな祭りにちらし寿司をごちそうになっていたのを思い出したという。
杉山さんが選ぶ「ほっこりしたシーン」は、第六話「はじめてのハンバーグ」で幼い士郎が作ったハンバーグを養父・切嗣が食べるシーン。杉山さん自身の出番はほとんどないものの、士郎が料理を始めたきっかけが描かれたこのエピソードが一番気に入っているとのこと。
下屋さんが選んだ「一番男前なシーン」は、第十二話「フライパンだけで作るローストビーフ」で、セイバーたちが車ごと崖から落ちそうになるシーン。見事なドライビングテクニックを見せてピンチを乗り越えたライダーの姿に「さすがはうちのライダーだなって思いました」と語った。
そして、植田さんが選んだ「腰抜けたシーン・末永くいられますようになシーン」は第一話「年越しそば」で、士郎がセイバーに年越しそばの意味を教えるシーン。「末永くそばにいられますように」という士郎のプロポーズのようなセリフに、あまりに素敵すぎてコタツの中で身もだえしたそうだ。
「衛宮さんちの今日のごはん」で今後みたい話は?
お次は、キャストの面々に今後アニメで見てみたいストーリーや料理などを自由に考えてもらう「『衛宮さんちの今日のごはん』で今後みたい話は?」のコーナーへ。
杉山さんが挙げたのは「町内イベント」。いつもは士郎が料理を作っているから、今度は各キャラクターが作った一品を持ち寄って食べ比べをするというもの。お菓子やおつまみなどバラエティ豊かな品ぞろえで、「それは料理じゃないし」というメニューがあっても楽しそうだ。
川澄さんは、原作コミックスの「特別編6 特別編:士郎特製!ハンバーガー」をチョイス。士郎がジャンクフード好きなセイバー・オルタのために手作りハンバーガーを振る舞うお話だが、店屋物なんか食べさせられないという士郎がまるで厳しいお父さんのように見えたそう。
「アーチャーに何か作ってほしい」という植田さんは、凛のためにアーチャーが腕を振るってフルコースを作るエピソードを提案。
下屋さんは「藤村先生の素人料理」を挙げるが、はたして大河にまともな料理はつくれるのか……?
門脇さんが選んだのは、原作コミックス第28話「クルミのブラウニー」。イリヤとその両親との思い出が描かれたエピソードなので、これまで事あるごとにアニメスタッフに映像化をアピールしてきたとのこと。もしアニメ第2期が作られるのなら、実現の可能性はあるかもしれない。
浅川さんが提案したのは「姉2人の料理」。ライダーには双子の姉・ステンノとエウリュアレがいるが、2人が料理している姿を見てみたいという。ただ、3人の声を担当しているのは浅川さんなので、アフレコ時は大忙しになりそうだ。
伊藤さんが考えたのは「辛くないカレー対決」。伊藤さんはカレーが大好きだが、辛いものは苦手。そこで、「藤ねえがちょっとでも辛いと感じたら負けなカレー対決」を見てみたいとのこと。おいしいけれど辛くないカレーを作るのは、意外とハードルが高そうだ。
最後に、神奈さんは「無人島でサバイバル飯」を提案。「無人島にバラバラに漂着した士郎たちが、島を探索しながらなんとか合流。さて夕食はどうするかという時に、ランサーがサバを持って現れます。サバ飯だけに」という神奈さんに、「サバをさばくのね!」と伊藤さんが絶妙な返しを見せて、会場を沸かせるのだった。
最後の晩餐 あなたは何を食する?
もしも明日地球が滅亡するとしたら、最後に絶対食べておきたいものがあるはず。そこで次のコーナーでは、キャストの皆さんに「最後の晩餐」に何を食べたいかを考えてもらうことに。
杉山さんが食べたいのは「豪華な天ぷらそば」。杉山さんはおそばが好物だそうだが、食べすぎたせいか、なんとそばアレルギーになってしまった。でも、「どうせ世界が終わるなら、後のことなど考えずに思いきりそばを食べたい」と、最期の希望をのぞかせた。
川澄さんは「茶碗蒸し」。「体調を崩した時、いつもお母さんが作ってくれた茶碗蒸しが大好きだったから」と、ほっこりエピソードを語ってくれた。
植田さんが挙げたのは、意外にも「目玉焼き」。目玉焼きが大好きな植田さんは、白身は固まっているけど、黄身は半熟。そして味は塩のみというこだわりがあるそうだ。
下屋さんは「シェラスコ」だそうですが、その理由は「アンケートを書いていた時に、たまたま一番食べたいと思ったから」とのこと。
門脇さんは「卵とじゃがいもとキャベツの味噌汁」。味噌汁の具はじゃがいもとキャベツが一番好きだという門脇さんは、2日目に卵を落としてアレンジを加えたいと言うが、「地球が滅亡するなら、2日目はお亡くなりになっているんじゃ……?」と、伊藤さんから鋭いツッコミが!
そんな伊藤さんが選んだのは「赤ワインと各種おつまみ」。サンフランシスコのナパヴァレーの赤ワイン(フルボディ)さえあれば、あとはなんでもいいという伊藤さん。「最初はチーズやアヒージョから始まって、次にパスタ、すき焼きもいいな。その次は丼、餃子、何を食べても一緒の状態になり、何も怖くない状態で死んでいく」。たしかに、これなら地球最後の日も怖くないかもしれない。
また、浅川さんは「某高級ブランドのチョコ」をチョイス。一番安いものでも1粒1000円以上はする高級品。「どうせ最後の日だから、チョコ売り場にバットを持って行って強奪する」という物騒なコメントに、キャスト陣から総ツッコミを受けていた。
一方、神奈さんは「なんでもいい」とのこと。「メニューは問わないから、とにかくみんなでワイワイ楽しく飲み食いしながら地球の滅亡を見届けたい」と答えたが、たしかにこれは理想的な最期かもしれない。
衛宮さんちの今日の食レポ対決
お次は、士郎チーム(杉山、門脇、伊藤)とセイバーチーム(川澄、浅川、神奈)に分かれての食レポ対決。さまざまな食材を食べて、1分間で会場の皆さんが食べたくなるような食レポをするコーナーだ。判定は会場の皆さんが下し、勝ったチームには豪華なプレゼントが送られる。
まずは士郎チームが先攻で、杉山さんが羊羹、門脇さんはみかんゼリー、伊藤さんはチー鱈をレポート。杉山さんが必死に羊羹のおいしさを伝えようとする一方、門脇さんは「おいしいよ士郎! 甘いよ士郎!!」と普段のイリヤらしいコメントを展開。さらに伊藤さんは「うん、赤ワインには合わない!」と、なんともお酒好きな藤ねえらしいコメントを見せてくれた。
後攻のセイバーチームのターンでは、バウムクーヘンを選んだ川澄さんと、チキンナゲットを選んだ浅川さんは、テレビのレポート番組のノリで食レポを展開。「この鶏肉の柔らかさ、鶏に感謝!」や「口の中の水分が持っていかれるこの感じ。でも、だからこそバウムクーヘンの濃厚な味が楽しめます」と、ノリノリでコメントしてくれた。ポテトチップを選んだ神奈さんは、「まずは音を楽しんでください」と美味しそうな音を立てながら、ポテチを頬張っていた。
お客さんの拍手量による判定の結果、軍配が上がったのはセイバーチーム。勝者には『衛宮ごはん』の料理監修を務める只野まことさんが作った、原作コミックス第28話の「クルミのブラウニー」がプレゼントされた。出来立てほやほやで、山盛りのホイップクリームは先ほど楽屋で作ったばかり。味の方はとてもしっとりと柔らかく、「こんなに美味しいブラウニーは食べたことない!」と川澄さんが語るほど。原作コミックスを読んで「クルミのブラウニー」のアニメ化を熱望していた門脇さんは、残念ながら食べられないという皮肉な結果に終わったが、後ほど楽屋でしっかりご馳走になったらしい。
『衛宮さんちの今日のごはん』朗読劇
原作コミックスの中から、アニメ化されていない原作コミックス第14話「アジづくし-なめろう丼と梅しそ巻き-」、第16話「自宅で作るひんやりかき氷」、第24話「カジキマグロのソテーと野菜たっぷりガスパチョ」の3本を朗読劇としてお披露目。原作の魅力を、キャスト陣の演技力がさらに引き立てる朗読劇に、会場のお客さんたちはうっとりと聴き入っていた。
さらに、最大の見どころとなったのは、このイベントのために作られたオリジナルエピソード「みんなで作る簡単豪華絶品パエリアとセイバーのカップケーキ」の朗読劇。日ごろからいろいろとご馳走になっている士郎のため、日頃の感謝をこめてセイバーをはじめとする面々が協力して料理を作ることに。どんなメニューがいいかあれこれ考えた結果、難しい技術はいらないけれど、豪勢に見えるパエリアに決定。さらに、セイバーは桜に教わって練習していたカップケーキにも挑戦。サプライズのご馳走に驚きながらも、士郎はみんなが作ったパエリアを「今まで食べた中で一番うまい」と絶賛。さらにセイバーは、上にかわいらしいライオン型のチョコクッキーを乗せた特製カップケーキを制作。心を込めて作った一品に「前に作ったホットケーキから、さらに腕を上げている」と、士郎も太鼓判を押すのだった。
いつものアニメ本編よりも長い約20分に及ぶ物語に、お客さんも大満足のようでした。
エンディング
さて、最後は三月のパンタシアのボーカル・みあがED主題歌「コラージュ」を熱唱。温かく澄んだ歌声が、イベントで高揚した心を優しく包み込んでくれるようだった。
折しも、時間は夕食時。実際には食べ物を食べているわけではないのに、食材の味や匂い、そして季節感まで伝わってくるようなキャスト陣のトークや演技に、お客さんたちのお腹は良い感じに刺激されていたことだろう。最初から最後までほっこり温かく、そして幸せな空腹感に包まれたイベントだった。